Dither(ディザー)[STD & ADV]
概要
ディザーは高いビット解像度から低いビット解像度へ変換するに必要不可欠な処理です。
ディザーを使用することにより、ビットレート変換時のクォンタイゼーションノイズを制御することができます。また、ディザーは低いビット解像度へ変換する際に信号のダイナミックレンジを保持に効果を発揮します。
ディザー・モジュールにはiZotopeのMBIT+のディザー技術が採用されており、これにより24、20、16、12または8ビットへオーディオを変換する際の品質が向上します。
MBIT+には特有の心理音響メソッドが使用されており、これにより高品質のサウンドと滑らかなフェードが実現します。
操作項目

New bit depth(新規ビットデプス)
オーディオファイルの変換後の新しい解像度(ビットデプス)を設定します。
Noise shaping(ノイズ形成)
ディザーのノイズ形成の強さを選択します。
ディザーノイズを形成する事により、効果的かつ明度の高いディザーが実現します。
このノイズ形状はNone (形成なし)からUltra (可聴ノイズに対する大体14 dBの抑制)まで調節が可能です。
ノイズ形成を強めにすると高いビットデプスであっても若干高めのピークに繋がる事があります。
Dither Amount(ディザー量)
ディザー量はNone (ノイズ形成のみ)からHighまで設定可能です。
- 一般的にはNormalディザーが良い選択であると言えます。
- ディザーなし、または低ディザーに設定すると、ノンリニア量子化ディストーションやディザーノイズの変動を取り切れない可能性があり、設定を高めにするとノンリニア量子化ディストーションは完全に除去できる代わりにノイズフロアーが増加する事があります。
- ディザー量をHighに設定し、ノイズ形成を全く実行しない場合、標準TPDFディザーとなります。これは、最下位ビット (LSB)の-1と+1の間の振幅を三角形に分布する一般的なホワイトノイズ生成方法の一種です。
Auto-blanking(自動ブランク機能)
選択されたモードと入力信号の特徴に応じて自動的にディザー出力(例: ディザーノイズ)をミュートします。自動ブランクモードには、以下のオプションがあります:
- IF QUANTIZED(クオンタイズ済み): ディザー処理済み、あるいはクオンタイズ済みの信号が検知されると、ディザー出力がミュートされます。クオンタイズ済みの信号が検知されると、自動ブランク機能はディザーが検知されなくなるまでディザーをミュートにします。
- ON SILENCE(無音時): 無音が検知されると、ディザー出力はミュートされます。
- OFF(オフ): 自動ブランク機能を無効にします。
Limit noise peaks(ノイズピークを制限)
ディザーノイズは元来ランダムであり、振幅は大きくありません。しかしながら、ノイズ形成を施すと、特にそれが極端なディザーモードであればあるほど、ディザーノイズの高周波数域が顕著に増幅され、擬似的なピーク値が-60 dBfsに達することもあります。もし、そういった高いピーク値が望ましくない場合は、このオプションを使用すると、ノイズ形成されたディザーであっても擬似的なピーク値を低く抑えることができます。
Suppress harmonics(ハーモニクス抑制)
もし、何かしらの理由によりディザーノイズの存在が望ましくない場合は、単純な切り捨てが唯一の手段となります。しかし、これを行うと信号にオーバートーンを加え、音質に歪みを加えるハーモニクスの量子化ディストーションの原因となります。そういったケースではSuppress Harmonicsのオプションを有効する事が望ましいと言えます。このオプションを有効化してもディザーによるノイズフロアーが生成されるわけではありません。表面上は切り捨てのように動作しますが、処理後の信号の音色的な品質を向上させます。このオプションはディザーノイズがなく、過度なノイズ形成が為されていない状況でのみ使用可能です。