De-hum(ハム除去)

言語:
モジュール&プラグイン

概要

ハム除去は、オーディオファイルに混入した低周波数のバズやハムを除去するために設計されました。ハムは多くの場合、電気が然るべき形でグラウンドに落ちていない状況で発生します。このツールにはハムのベースとなる二種類の周波数(通常50または60 Hz)に対するノッチフィルターが搭載されており、更にそれらのハーモニクスの除去も可能です。RXハム除去モジュールは、主要周波数から7つ目のハーモニクスまで除去することができます。

操作項目

De-hum interface
  • BASE FREQUENCY(基本周波数): 除去するハムの基本周波数を設定します。Freeオプションを使用すると、周波数コントロールがアンロックされますので、手動で基本周波数を定めることができます。試聴状態でハムが減退する位置までスライダーを動かして調整してください。

    ヒント

    スペクトラム・アナライザーでも、ハムの基本周波数を検出することができます。

  • SUGGEST(推奨機能): ハム除去は、オーディオに混入したハムのノイズプロフィールをインテリジェントに検知することができます。ハムのみの箇所を範囲選択し、その上でSuggestボタンをクリックしてください。ハムのみの箇所が見つからない場合でも、RXは目立つハムを基に分析できますが、分析結果は使用に値しないかもしれません。

  • ADAPTIVE MODE(自動モード): 入力オーディオの時間経過に応じたノイズプロフィールを基にハム除去モジュールが調整を行います。このモードでは、RXは規定された分析時間内で入力オーディオを分析し、ハムと必要なオーディオマテリアルを分別します。アダプティブモードは一定して進展するソースに適しています。

  • FILTER Q(フィルターQ): 基本周波数とハーモニクスのフィルターの帯域幅を設定します。

  • LINEAR-PHASE FILTERS(リニア位相フィルター): リニア位相のFIRフィルターを高いFFTサイズで有効化します。ハム除去のリニア位相フィルターはテーテンシーとフィルターのプリリンギングと引き換えに、非常に精度の高い周波数特性を提供します。

    リニア位相(FIR)フィルターの無効化

    • ここが無効の状態では、ハム除去は最小位相のIIRフィルターを使用します。これも精度が高く、ポストリンギングに対する感度は上がります(FIRにより発生し得るプリリンギングの方が聴覚上認識しやすくポストリンギングは目立ち難い傾向にあります)。
    • レーテンシーを考慮する: リニア位相フィルターを無効化すると、ハム除去をリアルタイムプラグインとして使用する際のレーテンシーが減少します。

  • HIGH/LOW-PASS FILTERS(ハイパス/ローパスフィルター): これらのフィルターはそれぞれ、高/低周波数域を通過させ、低/高周波数域を減衰します。これらは極度のハムやバズに取り組む際に便利です。

    • FREQUENCY [Hz]: フィルターの遮断周波数を設定します。
    • Q: フィルターの帯域幅(またはdB/オクターブカット)を設定します。デフォルトのIIRフィルターモードでQを高く設定すると、従来のアナログフィルターの特性であるカットオフ周波数で共鳴が聞こえることがあります。この共鳴はリニア位相フィルターを使用することで緩和されます。
  • NUMBER OF HARMONICS(ハーモニクスの数値設定): ハムのハーモニクスにより高い周波数帯でノイズが発生することがあるため、RXのハム除去モジュールにはこれらオーバートーンを減衰させる機能が搭載されております。Number of Harmonicsにて、主要周波数ではないハーモニクスの数を選択することができます。繰り返しになりますが、スペクトログラム画面で、このハーモニクスの数を確認することが可能です。ハーモニクスの個数を設定した後、Harmonic Slopeを使用して、どれくらい強くハーモニクスに対する減衰を適用するか調節します。

  • LINK HARMONICS(ハーモニクスをリンク): ノッチフィルターのゲイン操作を連結します。

    • ALL(全て): 画面に表示される単一の操作点で全てのノッチフィルターを操作します。これがデフォルト設定になります。
    • ODD/EVEN(奇数/偶数): 画面には2つの操作点が表示され、片方の操作点でファンダメンタル及び偶数ハーモニクスを操作し、もう片方の操作点で第1及び奇数ハーモニクスを操作します。
    • NONE(なし): 個別の操作点でファンダメンタル及び各ハーモニクスを操作します。
  • SLOPE(曲線): ハーモニクスがリンクされている場合、ここで増加/抑制の曲線を設定します。ハーモニクスの順列が増加すると、増加/抑制レベルは0 dBに近付きます。Linking typeがodd/evenに設定されている際は、個別の操作項目で奇数と偶数のハーモニクスに適用させる増加/抑制レベルを設定します。

  • HARMONIC GAINS [dB](ハーモニクスゲイン): dB値でゲインの設定値を表示します。Link HarmonicsがNoneに設定されていれば、任意のハーモニクスに対し任意の数値を手動で入力する事もできます。

  • FILTER DC OFFSET(フィルターDCオフセット): これにチェックを入れると、A/D変換、あるいは録音プロセスでアナログ回路が使用された際に発生し得るDC(直流)オフセットを除去するフィルターを有効化します。

  • OUTPUT HUM ONLY(ハムのみ出力): このチェックボックスを選択すると、除去されるハムを聴く事ができます。これは設定の微調整に便利な機能です。ハムの混じった箇所を特定し、このモードを選択した状態で選択範囲を試聴してください。その上でFilter Q (幅)やSlope調整 のパラメーターを調整すると、ハムの削減を最大限にし、問題のないオーディオへの影響が最小限になります。

更なる情報

複雑なハムの問題に対する代替案

  • スペクトラルノイズ除去 高域にまで多数のハーモニクスが広がるハム(バズと表現されることもあります)には、スペクトラルノイズ除去を使用すると良い場合があります。スペクトラルノイズ除去には、スペクトラム全域でのハムやバズのハーモニクスの除去を簡単に実現できるトーン的ノイズ除去操作が搭載されています。
  • クリック除去 高周波数のバズはクリック除去モジュールで取り除ける場合があります。

画像で見る例

これは60 Hzのハムと、その上に3つのハーモニクスを含むファイルのスペクトログラムの画像です:

60 Hz Hum Harmonics