Dialogue De-reverb [ADV]
概要
Dialogue De-reverb(ダイアログ用リバーブ除去)は、ダイアログ録音に混入した不必要なリバーブの効果的かつクリーンな除去を実現します。多目的なリバーブ除去モジュールとは異なり、ダイアログ用リバーブ除去は、処理前にリバーブプロフィールの分析を必要としません。その代わり、これは入力信号のリバーブ成分とダイアログ成分を分離するよう訓練されたマシーンラーニング・アルゴリズムを利用します。ダイアログとリバーブ成分を分離すると、ダイアログ信号のレベルを下げることなく、リバーブ信号を個別に調整することが可能となります。
操作項目
ここではこのモジュールに搭載された、分離されたリバーブのレベル、リバーブ検知感度、維持するバックグラウンドノイズの分量、そして分離アルゴリズムの動作を決定する操作項目について説明します。

Reduction(削減量)
分離されたリバーブ成分の信号に対して適用するマイナスゲインの分量(単位はdB)を調整します。
Sensitivity(感度)
分離アルゴリズムにより入力信号からリバーブと判断される分量を決定します。
- ここの値が低いと分離アルゴリズムは限定的に入力信号内のリバーブ成分を分離します。これにより、レンダリングされた信号にリバーブ成分は残存しますが、ダイアログの明瞭さも維持されます。
- ここの値が高いと分離アルゴリズムはより広範に入力信号内のリバーブ成分を分離します。これにより多くのリバーブ成分が除去されますが、引き換えに加工音が増え、ダイアログの明瞭さは損なわれます。
Ambience Preservation(アンビエンス維持)
処理される出力信号に残されるバックグラウンドノイズの分量を調整します。分離アルゴリズムはリバーブ成分にバックグラウンドノイズの成分も含んでしまうことがあります。そうなると、本来リバーブとは関連していないバックグラウンドノイズが不必要に除去されてしまします。
- ここの値が低いとリバーブの検知と分離がより広範となり、入力信号にある無関係のバックグラウンドノイズもリバーブ成分に含まれてしまいます。これにより、リバーブ成分のレベルを下げると、バックグラウンドノイズに対する不必要な除去も同時に行われることがあります。
- ここの値が高いと入力信号に対するバックグラウンドノイズとリバーブ成分の検知と除去がより限定的になります。これにより除去されるリバーブ成分に含まれるバックグラウンドノイズの成分は*少なく*なりますが、不必要なリバーブ成分がバックグラウンドノイズとして見なされてしまう場合もあります。
Separation Algorithm(分離アルゴリズム)
ダイアログ用リバーブ除去モジュールには以下の分離アルゴリズムが用意されています。
Channel Independent(チャンネル独立式)
このモードが選択されていると、分離アルゴリズムは入力オーディオ信号に対してのみ独立して適用されます。チャンネル独立式モードは、最速の分離アルゴリズムです。これは、RXオーディオエディターでダイアログ用リバーブ除去モジュールを使用する際に、リアルタイムの試聴と処理速度が最も効果的なモードです。
Joint Channel(チャンネル結合式)
このモードが選択されていると、入力オーディオ信号に対し、ダイアログとリバーブ成分の分離を判断する前に、ジョイントチャンネル処理が施されます。これは、チャンネル独立式と比べると分離結果の品質が高く、特に両チャンネルに類似するコンポーネントを持つステレオファイル(相関性の高い、強いステレオイメージ)の処理に秀でています。
Advanced Joint Channel(高度チャンネル結合式)
このモードが選択されていると、入力オーディオ信号に対し、ダイアログとリバーブ成分の分離を判断する前に、ジョイントチャンネル式で高度な処理が施されます。これは最も高品質の分離結果をもたらすモードであり、特に高サンプルレートのファイルの処理に秀でています。このモードは他の2つのモードと比較すると、より長い処理時間を必要とします。処理時間に重きを置く場合、品質は落ちるものの処理時間の速いチャンネル独立式を選択するのも一計です。
試聴機能
Reduced Quality Preview Mode(低質試聴モード)
RX 7オーディオエディターの他の多くのモジュールの試聴機能とは異なり、ダイアログ用リバーブ除去モジュールは低質試聴モードを活用します。詳細についてはReduced Quality Preview Modeの項をご参照ください.
代替モジュール
より全般的でダイアログに特化していないリバーブ成分を除去する際は、 リバーブ除去モジュールをお使いください。