Loudness Control(ラウドネスの制御)

概要

Loudness ControlモジュールではBS.1770のような特定のラウドネス基準を満たすために波形の音量を調節します。Leveler モジュールと異なり、Loudness Controlではゲインが時間変化しません。しかし、トゥルーピークの基準を満たすために必 要な場合はポストリミッターが適用されます。

用語説明

Loudness Control module interface

Integrated loudness

オーディオクリップのIntegrated loudnessをLKFSフォーマットの特定の値に合わせます。LKFSはLUFSと同じものです。

Tolerance(許容値)

Integrated loudnessを測定する際に許容する+/-方向の誤差の値を設定します。単位はLU(loudness units)です。それぞ れのラウドネス基準について許容値が決まっていて、よくあるのは0.5〜2の間です。

Short-term/Momentary Loudness

Short-termラウドネスは3秒の測定窓を移動させる方法で算出されます。これは直近3秒を測定範囲(窓)としてその窓を随 時後ろに動かしながら計算していく方法なので、瞬間的なラウドネスの上昇に反応し過ぎることはありません。R128やs1と いったラウドネス基準ではShort TermはShort-termラウドネスの最大値のことを指します。

Momentaryラウドネス400msの測定窓を移動させて計算されます。こちらは窓が十分に短いので突発的な音量の上昇にも反応 します。

Short-term、Momentaryの電源ボタンを押すことでこれらの計測を有効化、無効化することが出来ます。また、ドロップダ ウンメニューでShort-termとMomentaryを切り替えることが出来ます。

True peak

オーディオクリップ内で許容されるトゥルーピーク値の最大値を設定します。

Program loudness gate(ラウドネスゲート)

Integrated loudnessを計測する際「典型的な」音量の部分のラウドネスだけを計測するために音量が特定の値を下回った 部分は計算から除外されます。これはゲーティングと呼ばれ、BS.1770-2、3やR128などの基準に含まれます。

無音部分のノイズフロアがラウドネス計測に影響を与えないようにするために最初にMomentaryで-70LKFSを下回る部分が除 外されます。続いて、Momentary loudnessが全体のMomentary loudnessの平均値よりも10dB(または10LU)以上小さくなっ ている部分も計算から除外されます。こうすることでIntegrated loudnessの計算が無音部や静かな部分に影響されず、波 形全体の典型的な音量または最も大きい部分を対象に行われるようになります。波形の静かな部分を計算から除外するの は、波形に対してリスナーが感じる大まかな音量に対してあまり影響を与えないためです。

RX Loudness Controlが扱う多くのラウドネス基準(BS.1770-1は除く)はこのゲーティングを使用していますが、必要に応 じてゲーティングのON/OFFを切り替えることも出来ます。

ワークフロー

Loudness Controlの使用手順は以下の通りです。

  1. ファイルの中でラウドネスを反映させたい部分を選びます。もしファイル全体を選択したい場合はCtrl/Cmd + Aを押す かメニューからEdit > Select Allを選択して下さい。
  2. プリセットを選択するか、手動で各パラメータを調節します。
  3. Renderをクリックします。

ラウドネス基準表

ラウドネス基準 Integrated Loudness 許容値(+/-) Short-term Momentary トゥルーピーク ゲーティング
AES AGOTTVS TD1006.1.17-10 -16 2.0 Off Off -1 On
AGCOM 219/09/CSP -24 0.5 Off Off -2 On Italy
ARIB TR-B32 A/85 -24 2 Off Off -1 On Japan
ATSC A/85 -24 2 Off Off -2 On USA, Canada, Puerto Rico
BS.1770-1 -24 2 Off Off -2 Off International
BS.1770-2/3/4 -24 2 Off Off -2 On International
EBU R128 -23 0.5 Off Off -1 On Europe
EBU R128 DPP -23 0.5 Off Off -3 On Europe
EBU R128 (South Africa) -23 1 Off Off -2 On South Africa
OP-59 -24 1 Off Off -2 On Australia/New Zealand
Portaria 354 -23 0.5 Off Off -2 On Brazil

RX 9.3.0