Center Extract(センター抽出)

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概要

センター抽出はステレオのセンター位置を維持(Keep Center(センター維持)を使用)または解除(Keep Sides (サイド維持))します。センター位置を維持するとステレオ・フィールドのセンターが保持され、左右にパンしている信 号など、サイドに存在する信号が減衰されます。センター抽出処理の状況に応じた使用例とより詳しい情報は、後述の使用 例のセクションをご参照ください。

操作項目

Center Extract interface
  • **KEEP CENTER(センター維持):**保持する信号が両チャンネルにまたがっていて、ノイズの量が左右不均一な状況で も、センター抽出を行う事で大幅なノイズ除去に繋がる事があります。
  • KEEP SIDES(サイド維持): 広いステレオ情報を保持したままセンターの情報を除去する場合、代わりに再度の信 号を維持します。
    • ALGORITHM(アルゴリズム): 2つの異なるアルゴリズムが利用できます。
      • TRUE PHASE: 位相情報をもとにセンター部分をキャンセルしてオリジナルのパン状態を維持します。
      • PSEUDO PAN: サイドの情報を抽出して疑似的に2チャンネルのステレオ・イメージを作ります。
  • REDUCTION STRENGTH(減衰量) 保持する信号のレベルを調整します。値が小さいとより多くの情報が保持され、値 が大きくなると破棄される情報量が増加します。
  • ARTIFACT SMOOTHING(アーティファクト平滑化) FFT処理の特性による"音楽的ノイズ"の減少、除去に役立ちます。 音楽的ノイズとは水中で発せられるような音と説明できます。出力音から水のような音がこのスライダーを上げ、スムー ジングのかかりすぎで音がぼやける場合は下げてください。

    FFTとは

    Fast Fourier Transform(高速フーリエ変換) 信号周波数スペクトラムの計算処理のことです。FFTサイズが大きい ほど周波数の解像度は高く、すなわち、ノートとトーン・イベントが明瞭になります。ただしFFTを使用する場合、ソー スから削除する音が多くなるほど不要なノイズを生み出す可能性があります。

  • DRY MIX(ドライ・ミックス)[%]: 処理信号にミックスする未処理信号の分量を調整します。オーディオの元々の特 徴を保持することで処理によって発生しうるアーティファクトを削減する便利です。

ヒント:センター抽出前にアジマスを使用すると良い結果が得られます

センター抽出を実行する前にAzimuth(アジマス)でステレオ・チャンネルのバランスを整えると より良い結果が得られることが多くあります。

メモ:センター抽出機能が使用可否

  • センター抽出機能はComposite View(コンポジット表示)では使用できません。
  • **センター抽出機能はモノラル・ファイルには使用できません。**センター抽出処理は性質上、ステレオ・フィールドの 情報のないモノラル・ファイルには適用できません。

使用例

  • Mid/Sideエンコーディングの代わりにセンター抽出機能を使う: センターチャンネルの抽出はサイド・チャンネルが 維持されていれば、ステレオ・イメージを保ちます。これは場合によっては、(左右のハード・パンを単一のチャンネル にまとめる)Mid/Sideエンコーディングより優れた結果が得られる場合があります。
  • センター維持を使ってモノラル音声からステレオに変換した音声のノイズを除去する: センターの維持を行う事でモ ノラルのレコードをステレオのテープに変換により発生するサイド・チャンネルのノイズを除去できます。
  • サイド維持を使ってステレオ録音からボーカルを除去する:
    • ポピュラー音楽のミックスのほとんどは、リード・ボーカルのトラックはミックスの中心にパンされていることがほと んどです。何かをセンターにパンするということはそのトラックの情報はサイド(左右のチャンネル)に均等に存在す ることを意味します。
    • サイド維持の処理モードでサイド・チャンネルの除法をファイルに保持し、センターのチャンネルを除去します。
    • これは特に、明確なステレオ・イメージを維持して処理できることから、カラオケスタイルのボーカルの削除を行うの に便利です。

RX 9.3.0