Guitar De-noise(ギターノイズ除去)
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モジュール&プラグイン
概要
Guitar De-noiseは、アコースティックギターやエレクトリックギターの演奏に関連したノイズ(弦と指が擦れる音やピッ キング音、ギターのピックアップやアンプから発生するハムやバズ等)をコントロールします。Guitar De-noiseを使え ば、プロダクションのニーズに応じてこれらのノイズの量を簡単に調整したり、あるいは完全に除去したりすることができ ます。
Guitar De-noiseはターゲットの異なる3つのセクションで構成されています。Ampセクションはプリアンプのハムやバズを 除去します。Squeakセクションはフレットノイズを低減させます。Pickセクションは、弦を強く弾いた際の過度にシャープ なアタックを緩和します。
用語説明
Guitar De-noiseモジュールはAmp、 Squeak、そしてPickの3つのセクションに分かれます。

Amp(アンプ)
Ampはピックアップやアンプに由来するハム、バズを取り除くためのセクションです。De-humモジュールとは違い、高域に まで及ぶ数百もの倍音に対して有効です。また、複数の信号の倍音で構成される複雑なバズにも有効です。Learn機能を使 えばこういった任意の周波数で構成される音程を持ったノイズのスナップショットを作成することが出来ます。
Ampセクションで対処出来るノイズは音程を持っていてなおかつ静的である必要があります。ハムとヒスのように音程感の あるノイズと広域にまたがるノイズが混在する場合は、Spectral De-noiseやVoice De-noiseモジュールを個別に通すこと よって広域にまたがるノイズだけに対処することが出来ます。また、静的ノイズというのは周波数が時間変化しないハムや バズのことを指します。

- LEARN(学習機能): オーディオの中のハムやバズを学習します。
- プラグイン環境での使用方法:
- 除去したいハムやバズのみを含むオーディオをループ再生します。
- LearnをクリックしGuitar De-noiseにノイズを学習させます。
- しばらく再生させてから再度Learnをクリックし学習を終了させます。
- RXスタンドアローンアプリでの使用方法:
- 除去したいハムやバズだけを含む部分を選択します。
- Learnをクリックします。
- プラグイン環境での使用方法:
- Sensitivity(感度): ハムやバズをどの程度取り除くかを決めます。ノイズの振幅が時間変化する場合は感度を高 めに設定することで、学習したスナップショットよりもノイズが大きくなった時に作動するようになります。ノイズの振 幅が一定の場合は感度を低めに設定することでより元のギターの音色を保持出来ます。
- Resolution(解像度): アンプのノイズから最大でどれだけの数の倍音を取り除くかを設定します。多くのケースに おいてデフォルトの128で事足りますが、より大きな値にすることも出来ます。ただしその分CPU負荷も大きくなります。
Squeak(弦の擦れる音)
Squeakセクションでは、ノートやコードを移動する際のスライドアップやダウンに伴う弦のノイズ(フレットや指と擦れる 音)を低減します。

- Sensitivity(感度): どれだけ多くの弦の擦れ音を除去するかを決定します。Sensitivityを上げすぎるとギターの 高音まで減衰させてしまうことがあります。
- Reduction(減衰量): 信号の中で検出された弦の擦れる音をどれくらい減衰させるかを決定します。
- Duration(長さ):
- Short(短い) の設定は200msecまでの多くの弦擦れ音に有効です。
- Long(長い) の設定は短いものだけでなく1000 msecまでの長い弦擦れ音にも対応できますが、長いレイテンシー が発生します。
Pick(ピッキング音)
Pickセクションではギターのピッキングのアタック音が楽曲や音楽プロダクションの中で目立ちすぎる場合に抑え込むこと が出来ます。

- Sensitivity: 信号の中からどの程度ピッキングの音を検出するかを決定します。Sensitivityを大きくすると音色に 影響が出ます。
- Reduction: 信号の中で検出されたピッキング音をどの程度減衰させるかを設定します。adjusts the amount of attenuation that is applied to the detected picks in the signal.
- Attack(アタックの速さ): コンプレッサーのアタックタイムを変化させて、減衰がどのくらい速く起きるかを調節 します。
処理のヒント
- Ampセクションでノイズプロファイルを学習させる前に、オーディオの中から除去したいハムやバズを含む最も長い区間 (数秒あるのが理想的)を選択のが良いでしょう。
- 各セクションの**Ear(耳)**ボタンを活用して、除去したいノイズだけに反応するようにSensitivityを設定すること で、元の音色への影響を最小限に留めることが出来ます。
- Reductionの量は最初は控えめに設定して下さい。もしより多くのノイズを取り除きたい場合は必要に応じて大きな値に 設定して下さい。
代替モジュール
Ampセクションはハムやバズのような音程感のあるノイズを除去するのは得意ですが、ヒスやランブルのような広帯域 にまたがるノイズではあまり良い結果が得られないかもしれません。そんな時はRXのSpectral De-noiseかVoice De-noiseモジュールを試してみて下さい。Voice De-noise は軽量、ゼロレイテンシーで動的なノイズ除去を行うことに特化したモジュールで、DAWや NLEでトラックにインサートして使うことが出来ます。Spectral De-noiseは格段に処理不可が高 く、またレイテンシーも長いです。
Squeakセクションは殆どのフレットノイズを自動的に特定し除去する事が出来ますが、マニュアルで修正する必要のあ る目立つノイズも時として存在します。そんな時はSqueakのSensitivityを高めに設定した状態で問題箇所だけを選択して 処理するのが良いでしょう。代替案としてはRXのSpectral Repairモジュールを用いて手動で精緻な 処理を行うことが挙げられます。
Pickセクションの柔軟性では不十分な場合、RXのDe-ess(特に AlgorithymをSpectralにした状態)を使うか、 De-clickによって鋭いアタックを自動的に抑え込むことが出来るでしょう。勿論、ノイズ除去が非常に困難な状況において はSpectral RepairやGainなどの手動処理のツールを用いることで最も正確なリペアを行うことが出来ます。