ビンテージテープ [ADV]

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概要

ビンテージテープは音像に、クロストーク、ヒス、ワウ、そして不規則な振動音と言ったミックスを阻害する成分を加えることなく、磁気テープ特有の周波数特性(規模と位相)とサチュレーション特性の付加を実現します。このモジュールは、マスタリングに最適のクリーンで正確なスタダーA810、2トラックテープデッキにインスパイアされて設計されました。テープサチュレーションの分量は、高周波数(~100 kHz)のACバイアス信号に極度に依存しており、バイアス値を変更することで、サチュレーション効果の性質を劇的に変化させることができます。バイアス値を高めに設定すると、ダイナミックレンジが狭まるため圧縮率が高まり、低くすると別の形でディストーション量を増やします。テープサチュレーションは波長(テープ速度÷周波数)依存の処理であるため、サチュレーションの音質はテープ速度、バイアス値、素材、その他諸々の相互作用により複合的に決まります。テープサチュレーションは奇数ハーモニクスでディストーションを生成するのが一般的です。しかしながら、ACバイアスの設計上の不正確さ、あるいは機器の電気的なディストーションにより、しばしば偶数ハーモニクスが混じる場合があります。ビンテージテープは偶数ハーモニクスのディストーションと再生ヘッドの周波数特性をカスタマイズすることで、素材にアナログテープ特有の音像を付け加えます。

操作項目

vtape

Input Gain(入力ゲイン)

テープエミュレーション前の入力信号のゲインを調節します。振幅の高い信号を録音する際、テープはノンリニアとなり、サチュレーションを引き起こします。テープエミュレーション前の入力ゲインを上げると、サチュレーションの度合いも強まり、入力ゲインを低くするとサチュレーションも弱まります。素材の周波数成分やバイアス設定に応じてゲイン量を変更し、サチュレーションの具合を調整してください。 ビンテージテープには入力ゲインに対してテープサチュレーション処理を設定する自動ゲイン調節機能が搭載されておりますので、入力ゲインの設定に関係なく、出力レベルのジャンプアップを防止することができます。

Bias(バイアス)

バイアスは主にディストーション曲線の形状に影響を与えますが、周波数特性(主にハイエンド)にも変化をもたらします。マイナス方向のバイアスは高周波数帯をブーストし、プラス方向のバイアスに比べると高周波数帯でのディストーションが増加します。プラス方向のバイアスを高めに設定すると、ダイナミックレンジが極度に狭められ、オーバーバイアスされたテープ機器の特徴が強調されます。

Speed(速度)

速度は主に周波数特性を変えますが、ディストーションの発生するそれぞれの周波数帯のレベルも変化させます。特に、高周波数(短い波長)は低周波数(長い波長)に比べて低い入力レベルで音が歪みます。速度を変えると波長(波長=速度÷周波数)も変わりますので、7.5 ipsで500Hzにディストーションが発生する場合、15 ipsではレベルが同じだと1000Hzでディストーションが発生し、30 ipsではレベルが同じだと2000Hzでディストーションが発生します。

Harmonics(ハーモニクス)

テープディストーションに偶数ハーモニクスを加えます。

Low Emphasis(低域強調)

再生ヘッドの共鳴ピークを操作します。ここの設定を上げるとベース比重の高い素材のゲインを増加させます。

High Emphasis(高域強調)

再生ヘッドの高周波数ロスを補完します。

メーター

スペクトラムアナライザー

VTAPE Spectrum Analyzer

Ozoneの出力がリアルタイムで表示されるスペクトラムアナライザーです。