スカルプター (Sculptor)
概要
Sculptor(スカルプター)は、サウンドに明瞭さと艶を与えるスペクトラルシェイピングツールです。つまり、濁りや耳障りな音を取り除いて、より良いサウンドに磨き上げることができます。スペクトラルシェイピングは、究極のマルチバンド・コンプレッションです。4つの周波数帯域にコンプレッションを掛ける代わりに、スペクトラルシェイピングは32もの周波数帯域にコンプレッションを掛けて、サウンドを緻密に調整します。コンプレッションのスレッショルドは、お好みのスペクトラルシェイプ、または、そのサウンド自身が持つ時間平均的なスペクトラルシェイプに合わせて設定されます。
Sculptorモジュールは、 ターゲットカーブ に狙いを定めたスレッショルドに基づき、音の周波数スペクトラムにダイナミック処理を適用します。ターゲットカーブは、選択された楽器の理想とされるカーブです。複数の楽器それぞれにターゲットカーブを使用すると、音の分離に大いに役立ちます。
注意:Sculptorは歪みを与えるエフェクトではありません
Sculptorは歪みを与えるのではなく、音それぞれが持つ特性を透明なまま保つことを目的としています。
モジュールインターフェース
初めてSculptorを開いた時、またはリセットボタンをクリックした時、ターゲットカーブの選択肢が表示されます。ターゲットカーブをひとつ選択すると、モジュールインターフェースの画面に進みます。
ターゲットカーブの選択画面では、そのトラックの音に最も近い楽器(ターゲットカーブ)を選択してください。

ターゲットカーブを選択してSculptorの調節を始めます。

Sculptorモジュールは次のセクションで構成されています。
メーターとディスプレイ
Sculptorモジュールには次のメーターとディスプレイが使用できます。
- スペクトラムディスプレイ:
- スペクトラムアナライザー: 入力信号と出力信号の大きさを周波数スペクトル全体に対してリアルタイムに表示します。
- 入力信号のスペクトラム: ドライ(処理前の)信号を 暗い灰色 のスペクトラムで出力スペクトルの背後に描画します。
- 出力信号のスペクトラム: ウェット(処理後の)信号を 明るい灰色 で入力スペクトルの手前に描画します。
- 差分メーター: ダイナミクス処理に寄ってターゲットカーブに近づけるためにそれぞれの周波数レンジで入力信号からカット/ブーストされたゲイン差分を描画します。
モジュールヘッダ
Sculptorモジュールを全体的に操作する項目が表示されています。
LFE ボタンは、LFE チャンネルを含むサラウンド・トラック (5.1 または 7.1など) で Neutronマザーシップ・プラグインを挿入した場合のみ表示されます。LFEを無効にすると、LFEチャンネルにおける全てのオーディオ情報は、レイテンシー補正されながら、未処理の状態でモジュールを通過します。詳細については、LFE のセクションをご覧ください。
- LFE: 有効になっていると、LFEチャンネルはその他の全てのチャンネルと同様に処理されます。無効にすると、LFEチャンネルは当該モジュールによって処理されませんが、必要に応じてレイテンシー補正がかかり全チャンネルの同期が保たれます。 LFEチャンネルを含むサウンドトラック(5.1や7.1など)にインサートした時にのみ表示されます。
- アシスタントによる事前EQ: 入力信号をターゲットのEQカーブとマッチさせるために事前にかかる静的なEQのかかり具合を調節します。 Neutronマザーシッププラグインでアシスタントを動作させた後にのみ出現します。
- リセット: 全てのパラメータをデフォルトに戻します。リセットボタンをクリックする前の編集中の状態に戻したい場合はアンドゥ履歴ウィンドウをご利用下さい。
パラメータ
Sculptorモジュールには以下の操作項目があります。
レンジ選択
レンジ選択のハンドルを移動して、Sculptorの処理を適用させる範囲を調節します。
Range Selectorsをそれぞれ左右に移動させて調整してください。
- 幅を狭くする ことで、Sculptorの処理をピンポイントで適用することができます。音のエネルギーが強すぎる場所、また弱すぎる場所にターゲット・カーブを合わせて調節します。
- 幅を広くする ことで、EQのような色付けを施すことができます。全周波数帯域にSculptorの処理を適用して、全体的なバランスを調節します。
HUDの操作項目
Sculptorのパラメータを調節することで、スペクトラルシェイピングの形や処理の反応速度、ターゲットを調節することが出来ます。Sculptorの挙動は以下のパラメータで調節します。
- Amount: 適用される処理の量を調節します。
- ターゲットカーブメニュー: トラックに適用するSculptorのターゲットカーブを決定します。様々な種類の楽器や用途に合わせたターゲットカーブが選択肢として用意されています。それぞれのターゲットカーブは、楽器ごとに最適と考えられる周波数特性に基づいています。
- Tone: 適用後の音色のキャラクターを調節します。
- Speed: 適用されるコンプレッションの反応速度を調節します。
- Solo: 選択された周波数レンジに適用された処理結果だけを聴くことが出来ます。