トランジエント成形

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概要

Transient Shaper(以下、トランジエント成形)は、ダイナミック処理で音のアタック(その音が耳に到達した時の最初の成分)とサステイン(ここではアタック以外の全てを指します)を変造することができます。これは、特に打楽器的な音を形作る上で便利です。 例えば、これを使用すると、スネアのスティックによるアタックを強調させつつ、ボディやルーム音を弱めることができます。トランジエント成形モジュールの思慮深い使用は、ミックス内で個別に存在する幅広い素材を際立たせ、どのようなスタイルの音楽での使えるパワフルなサウンド成形ツールとなります。

transient shaper

グローバル操作

LFE Bypass(LFEバイパス)

このボタンは、Neutronが5.1または7.1サラウンド構成で起動している時のみ表示されます。サラウンドサウンドの構成下では、Neutronは全チャンネルを均等に処理します。これが有効になっていると、LFEチャンネルのオーディオは、レーテンシーが正しく補正された状態でバイパスされます。

Global envelope modes(グローバルエンベロープモード)

グローバルモードでは3種類のトランジエント成形アルゴリズムから選択できます。

  • PRECISE(精密): 次のトランジエントへの回復時間が最も速く、信号にアタックを加える、あるいは信号からアタックを削除する上で最も正確で反応の良いモードです。
  • BALANCED(バランス): 中間的なモードであり、トランジエント間は、比較的速いリリース時間と中程度のリリース時間となります。
  • LOOSE(弛緩): トランジエントの回復時間が最も遅いモードであり、多量のサステインを付け加えるのに最適です。

Learn(分析)

マルチバンドモードでは、幾つかの項目を元に、自然なクロスオーバーカットオフ点を定めます。一度Neutronが然るべきカットオフ点を見つけると、分析機能は自動的に無効になります。

Reset(リセット)

トランジエント成形全体をリセットし、デフォルトの状態に戻します。このボタンをクリック後に、リセットしたことを後悔しても問題ありません。取り消し履歴を使えば、リセットする前の設定に戻すことができます。

Mix(ミックス)

ミックススライダーはパラレル処理を可能とする便利な機能です。100%に設定されていると、トランジエント成形により処理されたオーディオのみ再生されますが、50%に設定されていると、処理されたオーディオと未処理のオーディオが半々にブレンドされます。

Gain Reduction Trace(ゲイン削減形跡)

これは、入力信号の波形とゲイン調整を表す重複曲線をリアルタイムで同時に表示するスクロールメーターを提供する機能です。

マルチバンド処理を使用する場合は、選択された帯域のゲイン調整と波形がこのメーターに表示されます。ゲイン調整形跡は、アタックとリリース時間を適正に設定し、ゲインリダクションのエンベロープを観察する上での助けとなります。

最高のトランスペアレンシーを実現するには、波形と並列して形跡を注意深く観察し、リリース時間の変更に応じて、オーディオが次のトランジエントを迎えるまでに、ゲインリダクションが0 dBに戻っているかどうかを確認することが重要です。注: スケールは左側で調整することができます。

バンド毎の操作

Attack(アタック)

プラス値はトランジエントのアタックを強調し、マイナス値はアタックを弱めます。このパラメーターは、全体的なボリューム調整やEQを行わずに、ミックス内の特定の要素を際立たせる、あるいは奥へ引っ込める上で便利です。是非お試しください。

Sustain(サステイン)

プラス値にするとトラックの減衰部分を増加し、マイナス値にすると減衰部分が縮小します。サステインを増やすと、弱めのキックドラムを煽って良い音にします。

Contour(等高線)

等高線操作は、ユーザーにバンド毎のトランジエント成形の周波数特性の微調整を可能にするパワフルな新機能であり、低域(例:キックドラム)とボーカルに対し、異なる動作を施したい場合など、マルチバンドスペクトラムを通した詳細な成形を可能にするツールです。

  • SHARP: 最速かつ最もタイトなリリース時間で、ドラムのような短くスタッカートな楽器に最適です。
  • MEDIUM: トランスペアレントでリニアなリリースエンベロープを持っており、大多数のマテリアルに対して機能する傾向にあるモードです。
  • SMOOTH: 全モード中、最もエンベロープの遅く、持続音の長い楽器や信号に最適であり、最初のトランジエントを通過させ、サステインに対し微妙に影響を与えます。

Bypass(バイパス)

Bボタンを使用すると、その帯域のみ未処理の信号が再生されます。

Solo(ソロ)

Sボタンを使用すると、その帯域の出力がソロ状態になります。

Add/remove(追加と削除)

各帯域にある電源ボタン(SとBボタンの隣)でその帯域の追加と削除が行えます。