トラックアシスタント

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概要

トラックアシスタントは、ミックスの作業開始点を提供する、マシーンラーニングとインテリジェントなオーディオ処理技術における最新の技術革新です。トラックアシスタントはアップデートされたことにより、素材に対する推奨設定を割り出す際のコントロールがより効くようになりました。よりスマートな操作項目、新たな楽器分類項目、そして新しいインターフェースとなったことで、トラックアシスタントはこの分野で最も進んだバージョンとなりました。トラックアシスタントが有効化されると、推奨設定に収まるまで、4秒から10秒ほど、オーディオの再生と分析に時間をかけます。

スマート・サジェスチョン機能は、重めや軽めの設定など、好みに応じて段階的な操作が可能です。状況や好みにより、トラックアシスタントはSubtle(微細)、Medium(中程度)、そしてAggressive(強め)に設定できるほか、更に主観的な要素となるBroadband Clarity(広域清澄性)、Warm(温かみ)とOpen(オープン)、Upfront Midrange(中域強調)などの二次的な操作選択も用意されています。これらの選択肢は、プロセッシングの量、帯域数、圧縮率、そしてその他パラメーターに影響を与えます。また、マシーンラーニングのアルゴリズムに、自動的に楽器の分類を検知させることも、手動で使用するために楽器タイプを選択することもできます。この設定項目には、Neutronの主要インターフェースのプリセット表示バー左にあるトラックアシスタントボタンをクリックしてアクセスします。

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これら9通りのコンビネーション(3タイプx3プリセット)は、トラックアシスタントの提供する開始点の設定を左右します。この9通りのモードの組み合わせには、それぞれ内部的に5種類のスマート・テンプレートが用意されておりますので(後述の通り、オーディオIDタイプにつき一つ)、 最初のアプローチとして用意されるのは合計45種類の設定に上ります。トラックアシスタントが分析状態にある場合は、Neutronへのアクセスはできないことにご留意ください(完了後、自動的にタイムアウトしますが、エラーや待ち切れない場合は、Xボタンをクリックすることでキャンセルできます)。

分析の仕組み

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これが実際にトラックアシスタントの内部で起こっていることです:

  1. マシン分析アルゴリズムがオーディオを以下の何れかのカテゴリーに分類します:
    • ボーカル/ダイアログ
    • ギター/またはそれに類する楽器
    • ベース
    • ドラム/打楽器
    • ピアノ
    • それ以外(例:シンセ、ディジェリドゥー、ブブゼラ)
  2. そのカテゴリーのスペクトラル成形アルゴリズム、‘Neutrinoモード’が選択され、有効化されます。注:オーディオが「それ以外」に分類された場合、Neutrinoモードには「クリーン」が選択され、Neutrinoはバイパスされます。
  3. オーディオ識別情報を使用し、トラックアシスタントのプリセットを参照の上、好ましいシグナルフローを決定します。シグナルフローは世間的に評価の高いミックスエンジニアによりベータプログラムの段階で事前に規定されており、モジュールの順列、あるいはモジュールの有効/無効状態により変化します。
  4. シグナルフローが確定すると、トラックアシスタントは、個別のマルチバンド対応モジュールの然るべきバンド数を決定します(最低1、最大3)。
  5. 有効化された各マルチバンド対応モジュールの帯域クロスオーバー点が自動的に最適な場所へ設置されます。ここでは、スペクトラムの極小値など、幾つかの判断基準を基に、最もトランスペアレントなクロスオーバー点が弾き出されます。このクロスオーバーの分析を行っている間は、帯域の移動している様子を視認したり、聴き取ったりすることができる場合があります。
  6. EQモジュールでは、幾つかのフィルター操作点を有効化し、オーディオスペクトラムの中で特に必要とされる箇所にインテリジェントに操作点を配して(共鳴や歯擦音など、そのオーディオに特有の処置を行って)基本的なスタート曲線を決定します。その時に設置されたEQ操作点により、微小なブーストやカット、静的あるいは動的な動作、そしてベル型や棚型のフィルターが適用されます。
    • この自動操作点設置の動作に関する詳細は、EQの章を参照してください。トラックアシスタントは、決して予め決められた結果のようなものを目標としてオーディオを分析しているわけではなく(例えば、オーディオにローエンドが欠落している場合、ローエンドを大きくブーストして、ピンクノイズのように信号を平均化するのではなく)、既に信号に存在し、信号のなかで影響力のあるエリアに操作点を置いていることを理解することが重要です。
  7. エキサイターが有効化されている場合、トラックアシスタントは、バンド、アルゴリズム(Tube/Tape/Warm/Retro X/Y pad)、そしてドライ/ウェットのブレンドといった、プリバンドのエキサイターのパラメーターをセットします。
  8. 有効化されたコンプレッサーの各バンドとダイナミックEQの各バンドは、LKFS信号レベルと付加的な計算に応じてスレッシュホルドが流動的に選択されます(これは、スイートスポットの探知に掛かる時間を短縮し、それに対する微調整や、美的感覚に基づく方向性の仕切り直しに割ける時間が取れることを意味します)。
  9. 片方、あるいは両方のコンプレッサーが有効化されていると、トラックアシスタントのプリセットは、ビンテージかデジタルか、状況に応じてスタイリッシュにコンプレッサーのモードを決定し、ドライ/ウェットの項目も設定します。入力信号は分析され、信号に対してアタック時間、リリース時間、そして圧縮比率が調整され、より音楽的でトランスペアレントな圧縮が施されます。

トラックアシスタントの動作が終了すると、作業の開始点となるプリセットが出現します。これには、シグナルフロー、EQ曲線と操作点の位置、圧縮設定、エキサイター設定、そしてNeutrinoの設定が含まれます。

重要なポイント:

  • マシーンラーニングのアルゴリズムによりオーディオが何れにも分類されず、Neutrinoモードにより「クリーン」とタグ付けされたとしても、Neutronはプリセットを作成します。オーディオのタイプにかかわらず、トラックアシスタントは一般的に最良と思われるアプローチを採用するよう作動します。
  • この時、トランジエント成形とゲートモジュールは、トラックアシスタントより調整されません。トラックアシスタントを作動させると両モジュールは無効になりますが、敢えて有効化して使用するも大いに結構です。
  • もしトラックアシスタントがお使いのオーディオファイルを誤認する場合は、カスタマーケアー(https://support.izotope.com/) を通じてそのファイルをiZotopeまでお送りください。アルゴリズムを向上させるべく、精査致します(勿論、いつでもフィードバック致します)。

変更の受け入れとキャンセル

 t.a. accept cancel

最後の画面に表示されるAcceptボタンをクリックすると、トラックアシスタントにより行われた変更を受け入れます。 * 受け入れ後にトラックアシスタントの結果に満足行かない場合は、取り消し履歴にて、変更前の状態へ戻してください。 トラックアシスタントの結果が望ましくない場合は、Cancelボタンをクリックしてトラックアシスタントを終了し、分析前の状態に戻してください。