トランジエント成形
概要
トランジエント成形は、ダイナミック処理で音のアタック(その音が耳に到達した時の最初の成分)とサステイン(ここではアタック以外の全てを指します)を変造することができます。これは、特に打楽器的な音を形作る上で便利です。 例えば、これを使用すると、スネアのスティックによるアタックを強調させつつ、ボディやルーム音を弱めることができます。トランジエント成形モジュールの思慮深い使用は、ミックス内で個別に存在する幅広い素材を際立たせ、どのようなスタイルの音楽での使えるパワフルなサウンド成形ツールとなります。
操作項目
トランジエント成形には4つのセクションがあります:
- トップのグローバルエリアには、トランジエント成形全体に影響するパラメーターがあります。
- その真下には、ゲイン調整の具合を示すゲイン調整メーターがあります。
- スペクトラム画面で、クロスオーバー点を設定します。
- 下部には詳細項目があります。
Global Envelope Modes(グローバルエンベロープモード)
グローバルモードでは3種類のトランジエント成形アルゴリズムから選択できます。
- Precise(精密): 次のトランジエントへの回復時間が最も速く、信号にアタックを加える、あるいは信号からアタックを削除する上で最も正確で反応の良いモードです。
- Balanced(均整): 中間的なモードであり、トランジエント間は、比較的速いリリース時間と中程度のリリース時間となります。
- Loose(弛緩): トランジエントの回復時間が最も遅いモードであり、多量のサステインを付け加えるのに最適です。
Reset(リセット)
トランジエント成形全体をリセットし、デフォルトの状態に戻します。このボタンをクリック後に、リセットしたことを後悔しても問題ありません。取り消し履歴を使えば、リセットする前の設定に戻すことができます。
Gain Adjustment Trace(ゲイン調整形跡)
Tこれは、入力信号の波形とゲイン調整を表す重複曲線をリアルタイムで同時に表示するスクロールメーターを提供する機能です。 最高のトランスペアレンシーを実現するには、波形と並列して形跡を注意深く観察し、リリース時間の変更に応じて、オーディオが次のトランジエントを迎えるまでに、ゲインリダクションが0 dBに戻っているかどうかを確認することが重要です。
注: スケールは左側で調整することができます。
Attack(アタック)
プラス値はトランジエントのアタックを強調し、マイナス値はアタックを弱めます。このパラメーターは、全体的なボリューム調整やEQを行わずに、ミックス内の特定の要素を際立たせる、あるいは奥へ引っ込める上で便利です。是非お試しください。
Sustain(サステイン)
プラス値にするとトラックの減衰部分を増加し、マイナス値にすると減衰部分が縮小します。サステインを増やすと、弱めのキックドラムを煽って良い音にします。
Contour(等高線)
等高線操作はトランジエント成形の周波数特性の微調整を可能にします:
- Sharp: 最速かつ最もタイトなリリース時間で、ドラムのような短くスタッカートな楽器に最適です。
- Medium: トランスペアレントでリニアなリリースエンベロープを持っており、大多数のマテリアルに対して機能する傾向にあるモードです。
- Smooth: 全モード中、最もエンベロープの遅く、持続音の長い楽器や信号に最適であり、最初のトランジエントを通過させ、サステインに対し微妙に影響を与えます。
ユーティリティ機能
Mix(ミックス)
ミックススライダーはパラレル処理を可能とする便利な機能です。100%に設定されていると、トランジエント成形により処理されたオーディオのみ再生されますが、50%に設定されていると、処理されたオーディオと未処理のオーディオが半々にブレンドされます。