イコライザー (Equalizer)
概要
イコライザーは、周波数スペクトラムの様々な部分をカットやブーストをしてキャラクター付けや補正します。
モジュール・インターフェイス

番号 | セクション | 操作項目と機能 |
---|---|---|
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メーターとディスプレイ | スペクトラム・アナライザー、複合カーブ、フィルターのカーブ表示、メーターのスケール |
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モジュール・ヘッダー | Scale(スケール)、Soft Saturation(ソフト・サチュレーション)、Learn(学習機能) Reset(リセット) |
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操作項目 | 操作点、HUDの操作項目: バンドの操作項目、フィルター・シェイプ、数値の表示 |
メーターとディスプレイ
EQモジュールにおけるメーターとディスプレイの詳細は以下の通りです。

番号 | セクション |
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スペクトラム・アナライザー |
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複合カーブ |
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フィルターのカーブ表示 |
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メーターのスケール |
スペクトラム・アナライザー
入力信号と出力信号のゲインを周波数スペクトラム上にリアルタイムで表示します。EQモジュールでは、以下の2つのスペ クトラム・アナライザーが表示されます。
- 入力信号: EQモジュールの入力信号はダークグレーで表示されます。
- 出力信号: EQ処理された出力信号は白い線で表示されます。
複合カーブ
全バンドを合成させたフィルターは白い線で表示されます。EQの操作点を調節することで、複合カーブの全体的な形が変化 します。
フィルターのカーブ表示
選択されている操作点のフィルターを表示します。ひとつの操作点をクリックすると、フィルターが操作点と同じ色の線で 表示されます。操作点が選択されていない場合、特定のフィルター・カーブは表示されず、複合カーブのみが表示されま す。
メーターのスケール(目盛り)
メーターのスケールは、スペクトラム・アナライザーの右端、左端、そして下部に表示されています。これらのスケールを 参考にしながら、パラメータを調節してください。
- EQ操作点のゲイン (dB): スペクトラム・アナライザー右側に表示されています。
- 各周波数のゲイン (dB): スペクトラム・アナライザー左側に表示されています。
- 周波数(Hz): スペクトラム・アナライザー下部に表示されています。
周波数のスケール は、モジュール・ヘッダーの左端にある[Scale (スケール)](#scale-ス ケール) メニューのボタンか、 オプションのEQタブから設定できます。EQ操作点の配置を見ながら、周波 数スケールの違いを確認できます。初期設定では、Ext Logに設定されています。
スケールの種類 | 説明 |
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リニア・スケール(Linear) | リニア・スケールは周波数スペクトラムの高域を強調していますので、EQにおける「エア」と呼ばれる音の明度を調節するのに便利なスケールです。 |
メル・スケール(Mel) | 人間の音に対する聴覚、つまり人が感じる音程を視覚化したスケールです。 |
ログ・スケール(Log / Ext Log / FlatLog)* | 低域や中域の詳細を表示するノンリニア・スケールで、一般的なEQ操作に便利なスケールです。 |
ピアノロール(Piano Roll) | 初期設定のExt Logスケールの下部にピアノロールを配置して、周波数と音程の関係を表示します。 |
ヒント:ピアノロールを使ってのEQ操作
周波数スケールでピアノロールを選択して、EQ操作の判断に役立てることができます。トラックの重要な周波数を削ってし まわないよう確認する時などに便利です。
モジュール・ヘッダー
EQモジュールを全体的に調節する操作項目が表示されています。詳細は以下の通りです。

番号 | セクション |
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Scale(スケール) |
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Soft Saturation(ソフト・サチュレーション) |
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Learn(学習機能) |
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Reset(リセット) |
Scale(スケール)
Scale Menuで周波数スケールの種類を選択します。詳細については、メーターのスケール をご覧 ください。
Soft Saturation(ソフト・サチュレーション)
Soft Saturation をオンにすると、入力信号にわずかな倍音を加えて、より豊かなサウンドにします。また、EQカーブ により若干の色付けが加わります。
Learn(学習機能)
Learn ボタンをクリックして、歯擦音やレゾナンス、そして低音の暴れなど、オーディオ信号の中で目立つ周波数をイ ンテリジェントに特定してEQ操作点を配置します。
ヒント:Learnは有効になっている操作点のみを調節します
Learn はEQの操作点を追加、または削除をしません。EQモジュール内で既に有効になっている操作点のみを調節しま す。また、LearnはGainやQの調節もしません。また、操作点が配置された後、シフトキーの長押しで周波数の位置を維 持したままGainを上下させることができます。
ヒント:LearnをEQの出発点に
オーディオに基づいて提案された操作点の位置を、ひとつの出発点としてEQモジュールでの作業をスムーズに始めることも 可能です。
Reset(リセット)
Resetボタンをクリックすると、EQモジュールにおける全ての操作項目が初期設定に戻ります。ここからリセット前に 使用していた設定に戻したい場合は、 編集履歴 のウインドウで履歴 リストからリセット前の項目を選択します。
操作項目
操作点の追加と削除
EQモジュールの操作点は追加と削除が可能です。
操作点の追加
操作点を追加する方法は以下の通りです。
- 複合カーブ上に追加: Hover over the white フィルターのカーブ表示 for a + button to appear. Click on the + button to add a node at the specific frequency on the composite curve.
- キーボードショートカットで追加: Command + Return (Mac) or Ctrl + Return (Windows) で、EQスペクトラム中央に新規の操作点を追加します。
- お好みの場所に追加: EQスペクトラムのお好みの場所をダブルクリックして、新規の操作点を追加します。
メモ:新規の操作点には周波数に応じたフィルター・シェイプが設定されます
新規の操作点には、追加された場所(周波数)に応じて、予め決められたフィルター・シェイプが設定されます。3種類の フィルター・シェイプは以下の通りです。
- 左寄りに追加した場合: フラット・ハイパス、またはローシェルフ
- 右寄りに追加した場合: フラット・ローパス、またはハイシェルフ
- 中央寄りに追加した場合: プロポーショナルQ
フラット・ハイパスとフラット・ローパスが設定されるのはそれぞれ一度のみになります。それは、周波数スペクトラ ムの両端でのみ使用されるフィルターだからです。それ以外の場所では、シェルフとプロポーショナルQフィルターが設定 されます。
操作点の削除
操作点を追加する方法は以下の通りです。
- ひとつの操作点を削除: 削除したい操作点を選択し、HUDコントロールの X ボタンをクリックして削除します。
- 複数の操作点を削除: クリック&ドラッグで削除したい複数の操作点を選択し、 Delete または Backspaceキーで選択された操作点を全て削除します。
- 修飾キーで削除: Shift+クリックで複数の操作点を選択し、 Delete または Backspace キーで選択された操作点を全て削除します。
HUDの操作項目
操作点をクリックすると、HUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)が表示されます。HUDでの操作項目は以下の通りです。

バンドの操作項目
HUDの左側には、選択されている操作点(バンド)のオン/オフ・ボタン、ソロ・ボタン、そして削除ボタンが表示されてい ます。
アイコン | 操作 | 説明 |
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オン/オフ・ボタン | 選択されている操作点のオン/オフを切り替えます。 |
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ソロ | 「S」ボタンをクリックしてソロ機能を有効にすると、操作点のフィルターのみを聴くことができます。 |
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削除 | 操作点を削除します。 |
メモ:操作点オフ時のフィルター・カーブ表示
EQの操作点をオフにした時、フィルター・カーブは表示されたままになりますが、他のオンになっている操作点と差別化す るために、フィルター・カーブの色がグレーに変わります。
ヒント:Alt-SoloとBand Solo
以下の方法で、特定の周波数帯域のみを聴くことができます。
- 操作点のソロ: 操作点に設定されたフィルターの音のみを聴くことができます。この機能にアクセスするには、
Alt ( option) キーを押したまま操作点をクリックします。また、HUDコントロールで「S」ボ タンをクリックしても、ソロにすることができます。 2. Alt-Solo: Alt ( option)キーを押したまま、周波数スペクトラム上をクリック&上下左 右にドラッグすることで、聴きたい周波数帯域だけをフォーカスすることができます。
バンドのフィルター
以下の表はフィルター・タイプと、それに関連するフィルター・シェイプをまとめたものになります。

フィルター・タイプ
EQモジュールには合計13種類の フィルター・シェイプがあり、Pass Filter(パス・フィル ター)、Peak Filter(ピーク・フィルター)、Shelf Filter(シェルフ・フィルター)という3つのフィルター・タイプ に分類されます。
フィルター・タイプ | 説明 |
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Pass Filter(パス・フィルター) | 特定のカットオフ周波数よりも低い、または高い周波数を減衰させる時に使用します。Lowpass(ローパス)とHighpass(ハイパス)のメニューには、Flat(フラット) と Resonant(レゾナント) の選択肢があります。 |
Peak Filter(ピーク・フィルター) | 特定の中心周波数をブースト/カットする時に使用します。Bell(ベル)メニューには、Bell(ベル)、Proportional Q(プロポーショナルQ)、Band shelf(バンド・シェルフ) の選択肢があります。 |
Shelf Filter(シェルフ・フィルター) | 特定の周波数よりも低い、または高い周波数をブースト/カットする時に使用します。Low Shelf(ローシェルフ)とHigh Shelf(ハイシェルフ)のメニューにはそれぞれ、Analog(アナログ)、Vintage(ヴィンテージ)、Baxandall(バクサンドール) の選択肢があります。 |
メモ:フィルターはスロープ/Qの調節で変化します
周波数の帯域幅(Q値)を調節すると、中心周波数の周りのブースト/カット量が変化します。また、フィルターのスロープ は適用される減衰の角度を設定します。
フィルター・シェイプ
メニューから操作点に適用するフィルター・シェイプを選択します。ドロップダウンメニューには、フィルター・シェイプ が以下のサブメニューに分類されています。: Bell(ベル)、Low Shelf & High Shelf(ローシェルフ&ハイ シェルフ)、Lowpass & Highpassローパス&ハイパス)
Bell(ベル)
Bellには、以下のピーク・タイプのフィルターがあります。
シェイプ | 説明 | 特徴 |
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プロポーショナルQ
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ブースト/カット量に応じて形を変えるフィルターです。帯域幅の設定によっては、ゲインを上下させた時の変化が異なります。例えば、帯域幅を狭くしてゲインを極端に上下させると、より鋭いカーブを作ることができます。 | 狭い帯域幅で特定周波数をピンポイントでカット。ゲイン量が大きいほど、タイトなカットになります。 |
Bell(ベル)
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特定周波数を中心とする帯域をスムーズにブースト/カットします。文字どおり、ベルのような形のフィルターです。 | ゲインの量(ブースト/カット)が大きくなると、全体的な音の色と質感が変化します。Proportional Qよりも変化が分かりやすいフィルターです。 |
Band Shelf(バンド・シェルフ)
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幅が広く頭がフラットなBellフィルターです。 | 音の倍音同士の関係を変化させます。特定の周波数帯域をひとまとめでブースト/カットするのに便利です。 |
Low Shelf and High Shelf(ローシェルフ&ハイシェルフ)
Low ShelfとHigh Shelfには、以下のシェルフ・タイプのフィルターがあります。
シェイプ | 説明 | 特徴 |
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Analog(アナログ)
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シンプルなブースト/カットに優れたシェルフ・フィルターです。アナログEQのスタンダードなシェルフに似ています。 | ハイエンドやローエンドを強調したいなど、大きな変化を加えたい時に便利です。 |
Baxandall(バクサンドール)
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Baxandall EQにインスパイアされつつも、周波数を自由に設定できるフィルターです。Low shelf(ローシェルフ): 緩やかなカーブのローシェルフHigh Shelf(ハイシェルフ): 緩やかなカーブのハイシェルフ | より自然なサウンドで超低域や超高域をコントロールできます。 |
Vintage(ヴィンテージ)
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かの有名なPultecアナログイコライザーにインスパイアされたフィルター・シェイプで、緩やかな周波数の「谷」を描きます。また、操作点ひとつの操作で複雑なスロープを作ることができます。 | ローエンドを濁らせることなく太くすることが可能です。 |
Lowpass and Highpass(ローパス&ハイパス)
LowpassとHighpassには、以下のパス・タイプのフィルターがあります。
シェイプ | 説明 | 特徴 |
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Flat(フラット)
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Butterworth(バターワース)フィルター:通過した周波数帯域が可能な限り平坦になるよう最適化されており、パスバンド(通過帯域)やストップバンド(阻止帯域)のリップルやレゾナンスがありません。 | 音のキャラクターを崩すことなくローエンドやハイエンドを削ります。クリーンでナチュラルな処理を行えます。 |
Resonant(レゾナント)
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レゾナンスをコントロールできるフィルターで、カットオフ周波数の「肩」の部分を持ち上げることができます。 | 信号の最低域や最高域をブーストで強調して、キャラクターを加えることができます。 |
GainとQ の調節について
- Baxandall はQの調節ができません。
- Lowpass と Highpass は Gain(ゲイン) の調節ができません。
数値の表示
操作点の調節をする際、HUDに表示される数値を確認することができます。以下の表は、HUDで確認できる項目をまとめたも のになります。

Readout | Units | Description |
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Freq(周波数) | Hz | 選択されている操作点の中心周波数、(またはカットオフ周波数)を表示します。EQモジュールでは、20 Hzから20 kHzまで対応しています。 |
Gain(ゲイン) | dB | 選択されている操作点に適用されたゲイン量を表示します。EQモジュールでは、-30 dBから+15 dBまで対応しています。 |
Q | (cF/Bandwidth) | (パラメトリック/ベル・フィルター) フィルターの帯域幅、またはスロープの値を表示します。 |
Slope(スロープ) | (dB/octave) | ((ハイパス/ローパス・フィルター)) フィルターのカットオフ・スロープの値を表示します。 |
音名 | 音名 | 操作点の位置が、音名で何にあたるかを表示します。 |
Freq、Gain、Qの調節
Freq(周波数)、Gain(ゲイン)、そしてQ(帯域幅)は、以下の3つの方法で調節ができます。
- 操作点、またはQハンドルのクリック&ドラッグ
- HUDで直接数値を入力
- 矢印キー
以下の表は、Freq(周波数)、Gain(ゲイン)、そしてQ(帯域幅)それぞれの調節方法をまとめたものになります。
項目 | 調節の方法 |
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Freq(周波数) | EQの操作点をクリックしたまま左右にドラッグ HUDで直接数値を入力(以下参照) 左/右の矢印キー |
Gain(ゲイン) | EQの操作点をクリックしたまま上下にドラッグ HUDで直接数値を入力(以下参照) 上/下の矢印キー |
Q | 操作点のハンドルをクリックしたまま左右にドラッグして、帯域幅を広げたり狭めたりします。HUDで直接数値を入力(以下参照) Use Alt/ Option + 矢印キー |
Freq(周波数)、Gain(ゲイン)、そしてQ(帯域幅)の 数値を直接入力するには :
- HUDで変更したい項目の数値をダブルクリック
- お好みの数値を入力
- Enter、または Return キーを押して完了
ヒント:キーボードを併用した調節方法
- 調整**が可能になります。
メモ:すべてのパラメータをリセット
操作点のすべてのパラメータをリセットして初期設定に戻すには、操作点をダブルクリックします。
EQモジュールにおけるGainのスケール
画面の右側に表示されているGainのスケール(dB)を参考にしながら、操作点を調節してください。