コンプレッサー (Compressor)
概要
コンプレッサーは、オーディオ信号のダイナミック・レンジを狭めたり音量レベルを整える他にも、音質やキャラクターな どの音作りに使用できます。
モジュール・インターフェイス

Neutron 3 Compressor モジュールの操作項目と機能は以下の通りです。
番号 | セクション | 操作項目と機能 |
---|---|---|
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メーターとディスプレイ | 波形ディスプレイ、ゲイン・リダクション・トレース |
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モジュール・ヘッダー | 検出フィルター・ビュー、Vintage Mode(ヴィンテージ・モード)、レベル検出モード、オート・ゲイン、オート・リリース、Reset(リセット) |
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操作項目 | Threshold(スレッショルド)、Knee(ニー)、HUDの操作項目: Ratio(レシオ), Attack(アタック)、Release(リリース)、Makeup Gain(メイクアップ・ゲイン)、Mix(ミックス) |
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アドバンスト・パネル | サイドチェーン |
メーターとディスプレイ
Compressorモジュールにおけるメーターとディスプレイの詳細は以下の通りです。
番号 | セクション |
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波形ディスプレイ |
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ゲイン・リダクション・トレース |
波形ディスプレイ
- 波形のスクロール表示: 入力信号と出力信号のゲインを時間的に表示します。メーターは右から左にスクロールしま
す。(最新情報は右側に表示)
- 入力信号の波形: 出力信号の波形の背景に ダークグレー で表示されます。
- 出力信号の波形: 入力信号の波形の前に ライトグレー で表示されます。 信号がコンプレッションされた 時、入力信号とゲイン・リダクションが適用された出力信号の違いを確認することができます。
ゲイン・リダクション・トレース
選択されたバンドに提供されたゲイン・リダクションの量を時間的に線で表示します。 ゲイン・リダクション・トレー ス を確認しながら、AttackやReleaseを調節してください。
メモ:オート・ゲインと出力信号の波形
オート・ゲイン機能は、インプット・レベル(コンプレッション処理前)とアウトプット・レベル(処理後)の差を算出し て、自動的にその音量差をマッチさせます。そのため、入力信号と出力信号の波形を見分けることが難しくなることがあり ます。そうした時は、 ゲイン・リダクション・トレースを見ながら、ゲイン・リダクションの量を確認すると良いで しょう。
モジュール・ヘッダー
Compressorモジュールを全体的に調節する操作項目が表示されています。

番号 | セクション |
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検出フィルター・ビュー |
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Vintage Mode(ヴィンテージ・モード) |
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レベル検出モード |
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オート・ゲイン |
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オート・リリース |
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Reset(リセット) |
検出フィルター・ビュー
検出フィルターをオンにして、検出回路の周波数レスポンスを調節します。検出フィルターが表示されている時、以下の表 にある操作が可能になります。Neutron 3 Elementsでは、Compressorモジュールのみで検出フィルターが使用できます。

アイコン | 操作 | 説明 |
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オン/オフ・ボタン | 検出フィルターのオン/オフを切り替えます。初期設定ではオフになっています。 |
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ソロ | 「S」ボタンをクリックしてソロ機能を有効にすると、検出フィルターの出力を聴くことができます。検出フィルターの操作点を調節する時に便利な機能です。 |
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レゾナント・フィルターの操作点 | ローパス・バンドとハイパスバンドの中心周波数とゲインを調節します。 |
レゾナント・フィルターの操作点の調節
検出フィルター・ビューで表示されるレゾナント・フィルターの操作点で、周波数レスポンスをお好みの形に調節できま す。
- 操作点をクリックしたまま上下にドラッグして、ゲインを調節します。
- 操作点をクリックしたまま左右にドラッグして、中心周波数を調節します。
ヒント:Compressorの検出フィルター
- 検出フィルターを調節することで、異なる周波数に対するCompressorの感度を調整することができます。Compressorをシ ングルバンド・モードで使用する時に便利な機能となります。
- 例えば: 低域の周波数よりも歯擦音や耳障りな周波数に対してCompressorを反応させたい場合、ハイパス・フィル ターで低域を外し、レゾナント・ローパス・フィルターで耳障りな周波数の辺りをブーストさせて、Compressorへの入力 信号を調節します。
Vintage Mode(ヴィンテージ・モード)
初期設定のデジタル・モードから、Vintage Mode(ヴィンテージ・モード)に切り替えます。透明度は低くなりますが、パ ンチと色付けのあるサウンドになります。
ヒント:Vintage Modeと高めのレシオ
Ratio(圧縮率)を高く設定すると、ポンピングが発生することがあります。これは常に望ましい現象ではありませんが、 音のキャラクター付けとして使用できることもあります。ポンピングをエフェクトとしてルームマイクに使用するのも有効 です。
レベル検出モード
- Compressorモジュールので使用されるレベル検出モードを設定します。検出フィルターに入ってくるレベルにたいして、コ
- ンプレッサーがどのように計算するかを切り替えることができます。使用可能なレベル検出モードの種類は以下の通りです
- RMS, PEAK, and TRUE.
モード | 説明 |
---|---|
RMS (Root Mean Square) | 入力信号の平均レベルを検出します。RMS検出はサウンドのキャラクターを変えずに全体のレベルを上げようとする時に便利です。 |
PEAK | 入力信号のピーク・レベルを検出します。一般的には、音楽の中で飛び出たピークを抑えて均す時に便利な設定となります。 |
TRUE | RMSモードのように、入力信号の平均レベルを検出しますが、全周波数帯域のレベルを安定させることができます。Trueモードは、RMSモードで生じることのあるエイリアシング(ノイズの一種)やアーティファクト(処理によって生じるもの)を発生させません。. |
オート・ゲイン
Auto Gainを有効にすると、Compressorモジュールが入力レベル(コンプレッション処理前)と出力レベル(処理後)の差 を算出して、自動的にその音量差をマッチさせます。
オート・リリース
入力信号を分析して、処理後の信号にポンピングなどを防止するため自動でReleaseタイムを設定します。
Reset
Compressorモジュールにおける全ての操作項目が初期設定に戻されます。ここからリセット前に使用していた設定に戻した い場合は、編集履歴のウインドウで履歴リストからリセット前の項目を選択します。
操作項目
Threshold(スレッショルド)とKneeの設定で、コンプレッションの掛かり 具合を操作することができます。

Threshold(スレッショルド)
コンプレッション処理を発動させるレベルを設定します。
Thresholdの調節
- Threshold スライダーのハンドルをクリック&上下ドラッグします。
- ハンドルの左端に表示されているThresholdの数値をクリックして直接入力します。
ヒント:波形ディスプレイを見ながらThreshold の調節
You can use the Waveform Displays as a visual guide when setting the threshold level for the compressor.
Knee(ニー)
Knee(ニー)の数値を調節して、コンプレッションのキャラクターを設定します。
- Knee(ニー)の数値を上げるほど 「ソフト・ニー」設定となり、控えめでナチュラルなサウンドのコンプレッショ ンになります。
- Knee(ニー)の数値を下げるほど 「ハード・ニー」設定となり、 よりアグレッシブなサウンドのコンプレッション になります。
メモ:Vintage ModeではKneeが無効になります
Vintage Modeがオンの時は、Kneeの調節ができなくなります。
HUDの操作項目
CompressorモジュールのHUDでは、入力信号に適用されるコンプレッションのキャラクター、掛かり具合、速度を操作する ことができます。その操作項目は以下の通りです。

Attack(アタック)
信号がスレッショルドを超えた時にコンプレッションが完全にかかるまでの時間(ミリ秒)を調節します。
Release(リリース)
信号がスレッショルド値を下回った時、元のレベルに戻るまで時間(ミリ秒)を設定します。
Ratio(レシオ)
信号がスレッショルドを通過した時に適用されるゲイン・リダクションの量を設定します。
メモ:Ratio の設定が与えるコンプレッションの変化
RatioやThresholdにおける設定によっては、コンプレッションの動作が以下の様に変化します。
- Ratioが 1:1 の時は、信号が Thresholdを超えてもコンプレッションは発動しません。
- Ratioが 10:1 以上の時、コンプレッサーはリミッターのような働きをします。
- Ratioを 1.0 以上の設定にするとコンプレッションが掛かります。しかし、Ratioを1.0以下の場合、コンプレッサー はエキスパンダーのような働きをします。この時、ゲイン・リダクション・メーターはコンプレッサーの時とは逆の動き をします。
Makeup Gain(メイクアップ・ゲイン)
コンプレッション後の出力レベルに適用されるゲインを調節します。
Mix(ミックス)
このスライダーを調節して、選択されているバンドのDry(処理前の信号)とWet(処理後の信号)のミックス具合をコント ロールします。
メモ:Vintage Modeのオート・リリース
Vintage Modeが選択されている時は、常にオート・リリースになります。
Advanced Controls
Sidechain(サイドチェーン)の操作項目は、HUDのアドバンスト・パネルに収納されています。アドバンスト・パネルを開 くには、HUDの右側に表示されている三角矢印マークをクリックしてください。

Sidechain(サイドチェーン)
Compressorは、別トラックの信号を検出回路にルーティングして、ゲイン・リダクションを適用することもできます。サイ ドチェーン信号のレベルが、設定されたスレッショルドに応じてコンプレッション量をコントロールすることになります。