ボーカルアシスタント
概要
Vocal Assistant(ボーカルアシスタント)は、磨き上げられたボーカルサウンドのための理想的な設定を判断すべく、リアルタイムでボーカルを分析します。これは、入力選択とインテリジェントな分析を結びつけ、ボーカルの処理を仕立てる機能です。
ボーカルに最適な設定をインテリジェントに施すべく、我々は様々なボーカルサンプルを使用して神経網分類機を鍛錬し、一般的なボーカル特性を識別できるようにしました。ボーカルアシスタントは、この神経網データを使用し、分析中にボーカルに適用される設定をマッピングしつつ通知します。
ワークフロー
Nectar Elementsを開くと、ボーカルアシスタントの選択画面が表示されます。

処理オプション
VibesとIntensityの設定を変えることで、ボーカルアシスタント処理の結果を特徴付けることができます。
Vibes(雰囲気)
ボーカルに適用されるEQとダイナミクスの初期設定を決定します。

Intensity(強度)
ボーカルに適用される処理の分量を決定します。

ボーカルアシスタント分析
設定項目をセットした後、DAWのオーディオを再生した上で、“GO”ボタンをクリックしてボーカルアシスタントを開始します。
註
- ボーカルアシスタントにはオーディオ入力が必要です: 必ずお使いのDAWのオーディオを再生してください。
- ボーカルアシスタントはボーカルを分析するのに時間を必要とします。 20秒以下のクリップでボーカルアシスタントを使用する場合は、ボーカルアシスタントを開始する前に、ループ再生を有効にする必要があります。

処理手順
以下は、ボーカルアシスタントがボーカルを分析する際に踏む手順の概要です。
- ボーカル信号を分析して最適な設定を決定: ボーカルアシスタントは、以後のステップで適用される処理の道筋を決めるため、ボーカルを分析して特性を識別します。
- ボーカル成分に応じて設定を適用: ボーカルアシスタントは“特性”EQ曲線とダイナミクスの初期設定を適用します。これら設定は、VibesとIntensityの選択状況、そしてボーカル成分の分析結果の組み合わせに応じて決められます。
- ボーカル音域を検知してピッチ補正を最適化: ボーカルアシスタントはボーカルトラックのピッチ情報を分析し、その情報を使ってピッチ補正処理のためのボーカル音域を設定します。
- 減法EQパラメーターを分析して清澄性を向上: ボーカルアシスタントはボーカルの周波数成分を分析し、清澄性を向上させるための減法EQ帯域の周波数を設定します。
- ボーカル内の歯擦音を検知してディエッサーを設定: ボーカルアシスタントはボーカルに含まれる耳障りな歯擦音の周波数成分を分析します。歯擦音が検出された場合、ボーカルアシスタントは歯擦音除去に最適なカットオフ周波数とスレッシュホルド値を設定します。
- ダイナミクスを適用して出力レベルをコントロール: ボーカルアシスタントはボーカルの出力レベルをコントロールすべく、コンプレッサーのスレッシュホルド値を設定します。
- 空間の風合いを加えるべく微小なリバーブを追加: ボーカルアシスタントは空間の風合いを加えるため、ボーカルに微妙なリバーブを適用します。
分析パスが完了すると、ボーカルアシスタントは自動的に次のページに進みます。
操作項目
ボーカルの分析が終わると、出力ゲインの調整、メーター情報の視認、処理のバイパスなどを行うことでボーカルアシスタントにより適用される処理の分量を調整することができますし、処理オプションのページに戻って、異なるVibesとIntensityを選び直した上でボーカルアシスタントを再実行することもできます。

Macro Scale(マクロスケール)の操作
ボーカルアシスタントがボーカルの分析を終えると、マクロスケール・スライダーを使用してボーカルに適用される処理の強さを調整することができます。

Clean Up(クリーンアップ)
アイコン | 名称 | 説明 |
---|---|---|
![]() |
PITCH(ピッチ) | ボーカルに適用されるピッチ補正処理の分量を設定します。0に設定されていると、ピッチ補正は適用されません。 |
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CLARITY(清澄性) | 減法EQ帯域に適用されるゲインの分量を設定します。 |
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DE-ESS(歯擦音除去) | 歯擦音除去のスレッシュホルド値を設定します。 |
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DYNAMICS(ダイナミクス) | コンプレッサーのスレッシュホルド値を設定します。 |
Polish(仕上げ)
アイコン | 名称 | 説明 |
---|---|---|
![]() |
TONE(トーン) | ボーカルに適用される“特性”EQの分量を設定します。0.0xに設定されていると、特性EQ処理はバイパスされます。2.0xに設定されていると、特性EQ曲線は、ボーカルアシスタントにセットされた初期EQ曲線の二倍になります。 |
![]() |
SPACE(空間) | ボーカルに適用されるリバーブの分量を設定します。 |
Start Over(やり直し)

処理オプション画面に戻ってVibesとIntensityの設定をし直し、プラグイン・インターフェースのトップバーにある”Start Over”ボタンをクリックすると、ボーカルアシスタントを再実行することができます。
出力項目
Output Gain(出力ゲイン)
出力信号(処理後)に適用されるゲイン(dB)の量を調整します。
Bypass(バイパス)
Nectar Elementsの全処理を無効にします。
メーター
Spectrum Analyzer(スペクトラムアナライザー)

Nectar Elementsの処理済み出力の周波数スペクトラムをリアルタイムで表示します。
Output Level(出力レベル)
Nectar ElementsのPeak+RMS出力レベルを表示します。クリップが発生すると、メーター最上部のクリップインジケーターが赤く点灯します。インジケーターをクリックすると、クリップインジケーターをリセットすることができます。